「中小企業強靭化法案」が閣議決定、BCP策定支援も!
こんにちは、Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
近年、人口の減少・少子高齢化に伴う労働力の低下や国際競争の激化など、企業が抱える課題が増加しています。また頻発する自然災害なども相まって、特に中小企業・小規模事業者を取り巻く環境は厳しくなっているといわれています。
そのような状況を踏まえ、国が中小企業・小規模事業者の生産性向上をサポートする目的で、2019年2月に「中小企業強靱化法案」が閣議決定されました。
【目次】
1.「中小企業強靱化法案」閣議決定の背景
2.「中小企業強靱化法案」の概要は?
3.把握しておきたいBCP策定支援のポイント
3-1.「事業継続力強化計画」の一例
4.中小企業の安定した事業活動の継続のために
1.「中小企業強靱化法案」閣議決定の背景
「中小企業強靱化法案」の正式な法案名は「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案」といいます。
上記の法案名にある「中小企業等経営強化法」ですが、もともと中小企業の経営強化を国が後押しする目的で2016年7月に施行されています。
具体的には、事業分野の特性に応じた経営力向上のための指針の策定、中小企業・小規模事業者等への固定資産税の軽減や金融支援等の特例措置などが規定されており、国が生産性向上に繋がる取り組みを税制面・金融面で支援するという内容です。
その「中小企業等経営強化法」を一部改正し閣議決定された「中小企業強靱化法案」。具体的にはどのような内容となっているのでしょうか?
2.「中小企業強靱化法案」の概要は?
本法案における主な措置事項以下となっています。
- 中小企業・小規模事業者の事業継続力の強化
・事業継続力強化に関する「基本方針」の策定
・中小企業の事業継続力強化に関する計画を認定し、支援措置を講ずる
・商工会・商工会議所による小規模事業者の事業継続力強化の支援 - 中小企業の経営の承継の円滑化
- その他(関係者の関与による基盤強化等)
※経済産業省 ニュースリリース(「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました)より
内容としては、自然災害などに対する中小企業の事業継続力強化をはじめ、経営承継の円滑化、社外高度人材(プログラマー、エンジニア・弁護士・税理士・会計士等)を活用した新事業分野の開拓支援など、措置事項は多岐に渡ります。
3.把握しておきたいBCP策定支援のポイント
さらに細かく見ていくと、前項(1)においては、中小企業が行う事前計画や中小企業を取り巻く関係者(サプライチェーンの親事業者、金融機関、保険会社、地方自治体、商工団体等)に期待される協力を規定し、「基本方針」として策定することなどが中心に規定されています。
上記は現行の「中小企業等経営強化法」と同様に重点項目となっていますが、今回の法案らしい項目としては「BCP(事業継続計画)」策定に対する支援措置が設けられる点ではないでしょうか。
中小企業が行う「事業継続力強化計画」および複数の中小企業が連携して行う「連携事業継続力強化計画」に対し、経済産業大臣による認定制度を新設。認定企業には信用保証枠の追加、低利融資、防災・減災設備への税制優遇、補助金の優先採択等、さまざまな支援措置が講じられます。
3-1.「事業継続力強化計画」の一例
- 自然災害が事業活動に与える影響の認識(被害想定等)
- 体制の構築
- 事前対策の内容
例:初動対応、設備投資、情報保全、取引先・同業他社との連携、人員確保、リスク、ファイナンス、復旧手順の策定 等 - 事前対策の実効性の確保に向けた取組
例:定期的な訓練の内容、見直し方法 等
上記のような防災計画が認定されれば、たとえば長期停電に備えた自家発電の導入や、豪雨時の浸水等に備え、止水板・排水ポンプなどの設備準備など防災対策への支援措置が受けられることになります。
なお、過去の災害時、運送事業者が倉庫に保管していた商品が水没、水害に適用できる保険未加入だったため補償について問題となったケースが発生しました。そういったリスクを防ぐべく、認定を受けるためには保険加入が条件となるようです。
以前こちらのブログでもお伝えしたとおり、中小企業のBCP策定状況は「策定済み(31.8%)」「策定中(14.7%)」を合わせても50%弱と、決して高いとはいえないのが現状です。
中小企業の円滑な事業継承を考慮した場合、多発する自然災害に対し各企業が災害対応力を高めることが必要であるとの判断に至ったのではないでしょうか。
また、前項(2)については、2019年(平成31年)度税制改正大綱に盛り込まれた「個人版事業承継税制」に関連した項目です。個人事業者の土地や建物、機械等の備品承継に係る贈与税・相続税を100%納税猶予するという新税制の効果を発揮できるよう、遺留分に関する民法特例の対象を個人事業者にも拡大するようです。
4.中小企業の安定した事業活動の継続のために
前述のとおり、中小企業を取り巻く環境はさまざまな要因により変化しており、人材確保の面などから生産性が低迷し、持続的に事業を発展することが困難な中小企業・小規模事業者も増えています。
人材、金融、防災などあらゆる面から見て、円滑な事業継承のために企業のフェーズや情勢に沿った手厚いサポートがあれば心強いですね。
「中小企業強靱化法案」は、まさにそんな視点から生まれた法案なのかもしれません。すべてを各企業が背負うのではなく、支援措置によってリスクに備えたり、外部関係者との連携を強化し事業活動を継続することが生産性の向上へと繋がるのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもCariotは、より便利に使っていただくための機能の開発を進めてまいります。
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